アル・バハードゥリさんのスピーチ

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 19日の集会スピーチ

慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において。
 親愛なる皆さん あなた方に平安あれ。

 私は現在暮らしておりますイラクの首都、バクダッドから、この皆様方の集まりに参加するためにやってまいりました。この集まりこそは、あなた方が確固たる意思を持ち、イラク国民と世界平和の側に立たんとする国民であることを、真に正しく表明するものであります。
 友人諸君。我々の愛する祖国が占領されてから2年が経とうとしておりますが、皆さんはイラクがいかにして、またいかなる動機や口実のもとに占領されたのかをご存知のことでしょう。またそうした動機や口実が、当時もまた現在も、国際法に違反し正統性を欠いているということを。彼らは大量破壊兵器の捜索のためにやってきました。ところが今では彼ら自身、そのような兵器は無かったと認めております。また彼らはイラクが9・11事件に関係していたとも言いましたが、その後、無関係であることが明らかになりました。そこで彼らが探し出したのが、イラクに民主主義と自由を広める、というあらたな理由でした。

 こうして今や、インフラの破壊、家屋の破壊、こどもや女性、老人たちの殺害といった破壊行為が、民主主義と自由の名のもとに行われているのです。皆さんはご存知でしょうか、ナジャフのイマーム・アリー廟付近の歴史ある市街地が破壊しつくされたことを。またファッルージャでは、住宅が破壊され、いまだに住民は家に戻れないことを。また戻ったとしても、2日もかかる長い列に並んだ挙句、家の戸口がどこなのかすら見分けられぬまま、再び町を後にするのです。私はバグダッドからまいりましたが、あの美しかった首都も今では軍事キャンプさながらであり、建物や通りは巨大なコンクリートの塊に包囲されています。治安はといえば、はっきり申しまして、殺人、無秩序、強盗、略奪、誘拐などが、善良なるイラク人の道徳心や習慣とはまったくかかわりを持たない外部勢力によって行われています。

 これが、彼らが吹聴した民主主義、イラクにもたらした民主主義なのです。いまやイラクの運命も未来も、まったく先が見えません。
 友人諸君。イラク国民は日本国民に好意を抱き、また多大な尊敬と評価を示しています。またイラク国民は、日本国民が教養あり、意識の高い平和的な人々であり、また占領の屈辱と都市の破壊による苦しみを味わったということを知っております。しかし現実に起きているのは、日本の軍隊が占領軍と共にかの地に存在している、ということなのです。彼らはイラク人たちの国家建設を手助けするために来た、などといった口実の数々を我々は耳にしています。しかしそれが実際の理由だとは思われないし、またそれを受け入れることも出来ません。占領者が建設するなどということがありえるでしょうか。でなければ、日本の兵士たちがオランダ兵やオーストラリア兵に守られ、城壁や堅固な砦の後ろにいる、という事態を、どう説明できますか。
 イラク人たちを助けたいと望むのであれば、占領を終結させ、イラク人自身の手に国の再建をゆだねるよう、全力を尽くすべきです。
 それゆえイラク人たちは今や、ムサンナー県に駐留している日本軍を、イラク人を助けるためにやってきたとは見ておりません。彼らは占領軍であり、両国民の友情と信頼の絆を保つためにも、また、兵士たちの命を守り、無事帰宅させるためにも、イラクを立ち去るべきなのです。

 友人諸君。また私は現在行われている組織的なテロについて、祖国の防衛者たちとは何ら関わりが無いということを、皆さんに知っていただきたいと願っております。なぜなら無辜の民や子供たちの殺害は、抵抗運動ではありえないからです。現在行われていることは、イラクの抵抗運動を歪曲し、イラク人たちの間に内乱を引き起こそうとする試みなのです。ですからこの点につきまして、私はこの壇上から、真実を明らかにするための国際的な調査を呼びかけます。
 ありがとうございました。
 

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20日教育会館でのスピーチ

アル・バハードゥリさんの報告

 以前イラクは繁栄と平和を享受し、あらゆるものに恵まれていた。教育費、医療費は無料で、第三世界の中では珍しいことに非識字率もゼロに近かった。しかし、経済制裁の開始以後、すべてが変化した。
 制裁によって子どもたちや老人たちなど、何十万人もの生命が奪われた。経済制裁の後にやってきたのが軍事占領だった。「大量破壊兵器の保有」「9・11攻撃との関連」など占領者の口実はすべて真実ではなかった。
 占領者は経済的略奪だけではなく、占領初期にはイラクの歴史遺産や文化遺産を破壊した。彼らは高度の文明を侵略して、国立歴史博物館を略奪したのだ。それは記録に残っている13世紀のモンゴルによる略奪よりもさらに徹底したものだった。そうしたことが民主主義の名において行われたのだ。今では「民主主義」が暴力を意味するようになっている。
 イラクは昔から占領者に対する抵抗を続けてきた。占領者が国民になんの恩恵も施せないことは明らかになっている。われわれは占領が最後の日を迎えるまで、抵抗闘争を続ける。現在のイラクではテロ行為が行われているが、それはイラクの内部から発生しているわけではない。われわれはテロ行為が間違いであることを知っている。それは内乱を導き出す誤りだ。
 私は昨日、WORLD PEACE NOWの集会に参加した。そこではさまざまな方向から平和への取り組みが行われている。イラク国内でも、さまざまな方向を持った運動が作り出されている。そこでは過激なイスラム主義からそうでないものまで含まれている。イスラムは平和と友愛の宗教であり、無辜の民の殺害を決して認めるものではないが、外国の占領を認めることはできない。
 私たちはいかなる形での占領にも反対している。いくつかの国は、象徴的な形で占領に協力しているが、たとえ象徴的なものであったとしても占領は占領だ。そうした占領に参加する国を友人とみなすことはできない。友好を破壊するものだ。私たちは、イラク占領に反対している人々の行動にあらためて感謝を表明したい。

質疑応答

−−イラクで起こっていることは宗教・宗派の違いによる勢力争いだと言われているが。


 イラク人内部には、そうした宗教上の対立はない。シーア派とスンニ派の対立を強調している人びとは占領を長引かそうという意図を持っている。両者の協力関係は強く、それを分断することなどできない。一例を挙げれば、私はシーア派だが妻はスンニ派だ。占領以前は、そうした対立を意識することはなかった。

−−自衛隊はイラクでどういう役割を果たしているか。

 日本の軍隊は日本国民の一部だ。日本国民はイラクの友人であり、イラク国民は好意を抱いている。しかし自衛隊は占領のための軍隊であり、私たちは占領終結を望んでいる。いま自衛隊がなんらかの貢献をしているとは考えられない。本当に復興を望んでいるならば、企業を導入すべきだ。それなしに復興といわれても理解できない。

−−劣化ウラン弾被害については?

 占領軍はあらゆる種類の兵器を使った。生物兵器や化学兵器も使用した。かつて知られていない病気に苦しむ人も増えているが、それは兵器使用のためだ。あなたたちにお願いしたいことは、アメリカの嘘を暴くことだ。

−−一般のイラク人の生活はどうなっているのか。

 衛生状況は悪化しており、病院には薬品もなく医療は壊滅状況だ。悪いところがさらに悪くなっており、暗い出口のない状態だ。バグダッド周辺では、米兵が絶え間なく監視を続け、バグダッドでも午後8時を過ぎると人っ子一人いなくなる。外出禁止令が出ているのは午後11時以後なのだが。以前は若者たちで賑わっていたクラブや集いの場も破壊され、娯楽の場はない。若者にとってのさらに深刻な問題は失業だ。
 食料については、経済封鎖が続いていたときは配給券で支給されていた。いまでも配給券が使われている。食料市場もあるが無監督状態で、腐った食べ物さえ売られている。

−−移行国民議会選挙は成功したといえるか。

 占領下で自由な選挙は可能なのか。レバノン情勢について、米高官が5月の選挙を見据えて「シリア軍の撤退がなければ自由な選挙はありえない」と言明している。そうであるとしたらイラクで「米軍占領下の自由な選挙」が行われたというのはおかしい。ましてレバノンのシリア軍は同じアラブの国ではないか。

−−ファルージャの虐殺について、実態はどうだったか。

 ファルージャ虐殺の前にナジャフでの虐殺があった。イマーム・アリ廟周囲の旧市街がすべて破壊された。ファルージャでは跡形もないほど家屋が破壊され、住民は全員町から追い出された。いま市民たちは家に戻ろうとしているが、戻るためには2日間も待つような長い列を作らなければならない。町に着いても、どこが自分の家だったかわからない。だからファルージャを棄てて、親戚の家に身を寄せるしかないのだ。

−−米軍が撤退したらイラクの秩序はどうなるかという意見もあるが。

 占領に代わる選択肢はある。イラク人に未来を決定する権利を返還することだ。

−−イラク民主的国民潮流(CONDI)は、どういう活動をしていますか。

 私自身はCONDIの友人であって、組織を代表するわけではない。CONDIは他の民主的潮流とともに、占領を終わらせ、イラク人の主権を確立して未来を作り出す活動を展開している。いま私が日本にいるという事実が、私たちの活動を表現するものだ。

−−「平和」とは何だと思いますか。

 平和は世界中で一つしかない。平和を望まない人はいないだろう。平和とは自由と民主主義のことであり、人間が自由に思い通り行動できるということだ。占領という現実があるかぎり、平和とはいえない。

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23日議員会館でのスピーチ

アル・バハードリーさん(イラク民主的国民潮流)のお話し(要約)
◆はじめに
日本の国会議員の皆さん。皆さんは公正な選挙で選ばれた、名誉ある国会議員として
仕事をされていると思います。日本の国会は権威ある組織であり、皆さんの仕事は日
本国民に役立っていると確信しています。日本の国会には大きな役割があります。日
本国民に対する責務もありますが、同時に世界に対する責務もあります。それは自由
や民主主義を広げていくことであると考えます。

現在のイラクは、破壊と悲惨、むごたらしい状況です。家々は壊され、人間性が破壊
されています。一つの街が完全に破壊されたこともあります。人々の命は、無差別の
攻撃を受けています。多くの人々が飢え、苦しんでいます。不思議なことに、こうし
たことが「民主主義」の名において行われているのです。

日本からは450人の兵士がイラクに派遣されています(※注 イラクに派兵されてい
る陸上自衛隊は約600人。この他に航空自衛隊約200人が、クウェート〜イラク間で輸
送任務についている)。450人という少ない人数で、何ができるでしょうか。何もで
きません。兵士たちはキャンプの外で活動することはできません。いつもキャンプの
中にいます。自衛隊の役割は、占領を正当化する意味しかないのではないでしょう
か。いかに占領を終わらせるか、いかに自衛隊をサマワから撤退させるかに関心を
持っていただきたいと思います。そういう考えの上に、今後の日本とイラクの友情を
考えなければならないでしょう。

◆イラク国会選挙について
先日、イラクでは国会の選挙が行われました。この選挙は占領下で行われたもので
す。日本の国会議員選挙は、地域ごとの選挙区に分かれていると聞いています。それ
は正しい選挙の形です。候補者がどのような人物かを、有権者が知ることができま
す。しかしイラクの選挙では、有権者は候補者のことを知りません。名前も顔も知ら
ない人を選ぶのです。他の地域に住んでいる人を、どうして選ぶことができるでしょ
うか。

◆自衛隊のイラク派兵に関して
私たちイラク人は、日本に限らず、いかなる外国軍の駐留も望んでいません。イラク
にいる軍隊は全て占領軍です。
イラク人は日本ことが大好きです。日本人に対して、大きな信頼をおいています。簡
単な例を1つあげてみましょう。私はバグダッドで商人をしています。私の店では、
さまざまな国の製品を扱っています。ある製品にMADE IN JAPANと書いてあれば、イ
ラク人はちゅうちょなくその製品を買っていきます。日本製品は、軍事的に来たもの
ではありませんから。しかしイラク人はイラクに駐留する自衛隊を、快く思っていま
せん。国会議員の皆さんには、国会でまた政府に対して、そのことを伝えていただき
たいと思います。


◆イラクの民主化について
占領下で、イラクの民主化を行うことはできません。イラク人は、「米国の言う民主
化は人々を殺すこと、家を破壊することだ」と理解しています。米軍兵士はイラクに
おいて、いかなる法律にも拘束されずに行動しています。米軍兵士の行為に対して、
イラク人は不平を言うことや、訴えることを禁止されています。そうした中で米国の
戦車が、好き勝手に動き回っているのです。国際法をはじめとした、様々な国際的取
り決めを破って、米軍が行動していることを、国会議員の皆さんに知っていただきた
いと思います。
さて、イラク国家の建設ですが、現在のイラクに「建設」はありません。全ては「破
壊」です。例えば、ある人が朝に家を出たら、夕に帰ってこられるのか分からないの
です。
また、ここに1つの省庁があるとします。その省庁から、大臣が外に出ることはでき
ません。イラクの街中には、あちこちにコンクリートの検問所があります。人々は、
簡単に移動することができません。これまでは5分で行けたところに、2時間も3時間
もかけて行くのです。これでは、国家建設が進むはずがありません。

◆宗派間の関係について
シーア派とスンニ派の対立など、宗派間の対立が取り上げられています。しかし、そ
うしたことは、まったくありません。私たちは手を取り合って進んでいきます。シー
ア派の人とスンニ派の人が結婚することは、イラクでは当たり前に行われています。
この2年間で米国は、宗派間の友好関係を破壊しました。しかし私たちは、この困難
を必ず乗り越えていきます。


◆日本に期待すること
多くの日本の皆さんが、イラクのために尽力してくださっていることを知っていま
す。イラク占領に反対する集会やデモが行われていることも知っています。しかし同
時に、息の長いイラクへの支援もお願いしたい。兵士が来るのではなく、民間企業に
来てもらって、イラクの建設を手伝ってもらいたいと思います。
2003年12月に、アル・リカービが日本に来ました。そのときに、イラクの国家機構再
建への協力を、日本政府に依頼しました。その依頼を日本が誤解して受け取り、自衛
隊の派兵につながったのではないかと考えています。しかし私たちは、軍隊によって
国家建設を手伝ってもらうつもりはありません。
いま、自分たちの声を反映する憲法を自分たちで作るための会議が行われています。
私たちはそうした動きに対して、日本の支援をお願いしたいのです。